７月２１日

とうとう梅雨も明けてしまいました。
これから約一か月半、暑い暑い夏が続くわけです。
そう、日本の夏は暑いのです。これはもう、逃れられない現実です。
我々のような庶民は、それでも何とか下界に居続け、暑さをやり過ごし、生活していかなければならないのです。
こらえ性の薄れつつある日本人にとっては、辛い季節です。
エアコンの無かった時代、と言ってもそんな遠い昔ではないですが、日本人は夏を乗り切って来た訳ですから、先人の知恵を少し拝借してみよと思います。

涼を呼ぶ、夏の風物　風　鈴

近頃、めっきり存在感が薄れた感のある風鈴。
とは言え、その透き通った涼しげな音色は、日本人に格別な涼感を与えてくれる、夏のスグレモノです。
夏の午後、一息ついて麦茶なんか頂いていると、「チリリーン、チリーン」。
どこからか控えめな音色が聞こえてくると、一瞬ですが暑さも忘れ癒された気分になるものです。
そんな風鈴の事を、もう少し知って、その良さを再確認してみてはいかがでしょう？
今よりも、少しだけ生活が豊かになった気がするはずです。

＜疑問　風鈴でホントに涼しくなる？＞
ある機関が風鈴の音を聞かせる実験をしたところ、気温が下がった時に起こる生体反応、これと同じ反応を示した被験者が、高い確率で現れたそうです。
どういう事かと言うと、脳は涼しいとイメージしただけで、末梢神経などの活動に影響を与え、環境の変化に対応しようとするらしいのです。
その結果、血管が収縮し体の表面温度が下がると言うことです。
実験の結果からも、風鈴の音色は人の感覚を涼しくする事が証明された訳です。

ただし、脳が涼しいとイメージしなければ起こらない反応で、全ての人に起こるとは限らないそうです。
特に１０代・２０代の若い世代では、風鈴の音色から涼しいイメージが連想されず確率は低かったそうです。
同様に、風鈴を知らない外国人に対する実験でも、体表面温度が下がるような反応は起こらないと言います。

＜なぜ風鈴で涼しさを感じられるのか＞
「チリ～ン、チリリ～ン」と響く風鈴の音は、谷川のせせらぎや鳥のさえずりに似た高周波帯の音であり、多くの日本人が心地よさを感じるそうです。
その結果、βエンドルフィンやセラトニンなどの脳内ホルモンが分泌されます。
これらの物質はリラックス効果があり、心を落ち着かせる働きがあります。

同様に、風によってなびく短冊は、「1/fのゆらぎ」と呼ばれる不規則なリズムの音色を創りだします。
自然界に多く存在する1/fのゆらぎを含んだ音は、α波（リラックス時の脳波）を誘発し、人は「癒やし」の音と感じます。
古来から日本人は、自然に親しんだ生活をしてきました。その記憶が現代の我々にも潜在的に刻み込まれているから、癒しを感じることが出来るのではないでしょうか。

次に、経験からも涼しさを感じられる様になります。
例えば、風があると風鈴の短冊が風によって揺られ音が鳴ります。程なく風を感じ若干ではあるが体感温度が下がります。
視覚、聴覚そして体感が一体となって記憶に刻まれます。こんな経験を多く積むことによって、風鈴の音色を聴くだけで、人は涼しさを感じるようになります。
この様な現象を「すり込み」と呼びます。

言葉によっても同じ事が起こります。
子供の頃から繰り返し「風鈴の音色は涼しげだ」と教えられると、やはり風鈴の音色を聴くだけで、人は涼しさを感じる様になります。
ちなみに私は、風鈴の音色を聴くと、初秋に鳴くスズムシの声を思い浮かべ涼しさを感じます。

風鈴は、こんな効果をもっているんですね、暑くてイライラしがちな夏、取り入れない手はないです。
今回は、ここまでです。続きは後日アップ予定です。

＜おまけ＞
「１/fのゆらぎ」とは。
規則性と不規則性の中間の領域のことで、これら２つが調和した状態をいいます。
例えば、電子音だけで構成された曲の場合、どこか違和感を覚えてしまう事があります。
これはリズムが正確過ぎて、人は無機質な感じに捉えてしまうからです。
それに対し、波の音、川のせせらぎ、小鳥のさえずりなど、人が聞いた時に心地よさや安心感を与える音には、自然界そのものである、1/ｆのゆらぎが含まれています。

ブログ一覧に戻りたいとき押してください